起業へのステップとしてのフリーランス
こんにちは。
今回は、フリーランスについてです。
フリーランスとして長年やると、どんどん体力的には無理が効かなくなるため、稼働時間ではなく単価をあげる努力をする必要があります。
しかしそのような努力を続けることの難しさもあるでしょう。
フリーランスとして食べていくことに困らなくても、時間で仕事をしない、というスタイルで稼げている方はかなり少数ではないでしょうか。
しかし実はフリーランスの方こそ、起業して自分のビジネスを確立することで、時間で稼ぐというパラダイムから抜け出す働き方に近い立ち位置にいるといえます。
フリーランスという働き方を、起業をする準備期間と捉えてみると、フリーランスとして働くということはさまざまなアドバンテージがあるものです。
本稿では、そのような観点でフリーランスという働き方の再定義をしてみたいと思います。
フリーランスと起業の違いとは?
そもそもフリーランスとして独立をすることと、起業して独立することの違いはなんでしょうか?
両者とも、独立という表現をします。確かに、会社員として雇われていない、という意味では、両者とも独立しているという状態であることにかわりありません。
ここでは、筆者の実体験を踏まえながら、フリーランスと起業の違いを考えてみます。
私はエンジニアとしてフリーランスを経験しています。また起業しようとして失敗した苦い経験もしました。
まず、フリーランスとして活動する場合ですが、主にその収入源は対企業であることがほとんどではないかと思います。
つまり、法人企業からなんらかの仕事を請け負うことで、その対価としての報酬を受け取る、というスタイルであるということです。
この場合、企業から報酬を受け取るという点で、広義的には会社員とさほどかわりがないといっても差し支えないでしょう。
一方で起業する場合、その業務形態がBtoC・BtoBであるにかかわらず、なんらかの自社サービスをてがけてビジネス=お金を生み出す仕組みを作り出す、ということで売上を立てることが多いのではないでしょうか。
もちろん、この場合に限らず、コンサルタントなどの職種の場合など、特定の企業から報酬を受け取るスタイルの起業もありますので、一概にはいえないところもあります。
しかしながら、一般に起業する醍醐味としては、新しく儲け=お金を作り出す仕組み作りを行うことにあるといえるのではないでしょうか。
このように考えると、フリーランスとは既にある仕事の一部を企業から切り出してもらうことでその対価として報酬を受け取るが、その仕事は既にあるものなので企業からみると外部委託的な側面が強いといえます。
一方で起業とは、既にある仕事ではなく、新しい仕事そのものを生み出す=新たな価値を創造する、という側面が強いのではないでしょうか。
フリーランスor起業の選択は価値観に関わる
このように既にある仕事を請け負うか、新しい価値を生み出すか、という違いがあるフリーランスと起業ですが、それでははたして、どちらがよりよい働き方といえるのでしょうか?
個人的には、これに答えを出すのは働く側の価値観によりけりであり、みずからがどちらを選択するかを定義すべき命題だと思います。
フリーランスとして働く場合、ある程度のスキルレベルや人脈があり、ひっぱりだこで仕事に困らない状況であれば、どの仕事を選択するか?という自由を手にすることができます。
この自由があれば、よりみずからが大切にしたい価値観にもとづいて仕事を選択することができるようになります。
たとえば、フリーランス・エンジニアであれば、ゲーム業界の仕事だけを専門で請け負いたい、Ruby on Railsの開発案件だけを請け負いたい、リモートワークで働く場所や時間に左右されない案件を請け負いたいなど、みずからが大切にする価値観を優先した働き方を選択することができるようになります。
一方、起業を選択する場合でも、ニッチなところでニーズのあるwebサービスを開発してマイクロビジネスとして小さく確実に売上を立てて育てたい、はたまた、ベンチャー企業として外部から資金調達をしてでもスケールするwebサービスを開発して世の中をかえたい、など、こちらもみずからが大切にする価値観にもとづいてみずからがてがけるサービスの方向性をみずから定義することができます。
(もっとも外部から資金調達をする場合は自分で起業した会社であってもスケールすることが義務付けられるようなものなので、その点の方向転換・後戻りはできないという制約がついてしまいますが) このように、フリーランス・起業のどちらの選択をするにしても、その選択をする方の価値観によって、その後の働き方や起業であれば創業した会社の方向性が決められていきます。
つまり、まずは「自分の人生、なにを大切にしてなんのために生きるのか?」という人生哲学・信念のようなものを確立する、というところから出発する必要があると思うのです。
手始めにフリーランスとして独立する
私自身の経験や、私の周囲の方の経験も踏まえて総合的に考えると、とくに起業して新しい価値を提供することに挑戦している起業家の方は、輝いており魅力的にみえるものです。
また、フリーランスとして売れっ子になった方は、その売上高やビジネスの発展から、自然と起業の方向に向く方が多い印象です。(かくいう私自身もその方向性を向いている1人です)
そこでもしみずからの価値観を精査した結果、やはり起業したいと考える起業家予備軍なフリーランスや会社員の方が読者の中にいらっしゃったら、フリーランスとして稼ぐ状況を作り出すことを起業の準備期間として捉えてみる、ということをオススメしたいです。
もし、まだ会社員として働いている場合はとくに、起業の前段階としてフリーランスになることを検討してみてください。
フリーランスとして独立すると、これまで分業されていたことをすべてみずからがハンドリングする必要があることにきづけます。
たとえば、エンジニアであれば、これまでデザインやUI/UXのことを考えきれていなかった点、そもそもの事業の方向性を考え抜く力が弱かった点、営業や交渉術、経理のことに疎かった点など、自分の至らなさを痛感することでしょう。
しかしながら、このような経験をしてその壁を乗り越えることができたなら、おそらくあなたは他の企業からもひっぱりだこのフリーランス人材として活躍することができるようになります。
一方、フリーランスとして既に独立をはたしている方であれば、仕事を選べるほど、たくさんの仕事が舞い込んでくる状況になっているかを自問してみてください。
もしそういう状況になっていなければ、起業を視野に入れるならちょっと心もとないかもしれません。
仕事を選べる売れっ子フリーランスだ!と胸を張れる方であれば、次に必要なのは「事業ネタ」を考えるフェーズにきているといえるでしょう。
リーン・スタートアップ的に、「事業ネタ」のニーズがあるか否かを周囲の信頼できる方やアーリーアダプタとなりえる方にユーザーヒアリングしてみるところから始めてみてもよいかもしれませんね。
フリーランスとして新規事業に携わる
また、フリーランスとして活動中の方で将来起業を視野に入れる方にオススメなのが、企業から請け負う仕事を「新規事業案件」のもののみに絞る、ということです。
なお、新規事業にかかわる経験はフリーランスでなくとも会社員として働く方にもチャンスがあります。
新規事業は起業と同様のプロセスを踏むことが多いです。
確かに企業内アントレプレナーシップと呼ばれる企業内新規では、予め決定されている予算感や人材など、通常の起業にくらべて恵まれている点も多くあります。
しかしながら、新規事業立ち上げのフェーズでは、さまざまな想定外のできごとが発生するなど、既にある仕事を定常的にまわす仕事にくらべると、かなり流動的であり、臨機応変な対応が求められる場面に遭遇する確率が高いといえます。
このような経験は、間違いなく将来起業する際には役立つ経験といえるでしょう。
フリーランスとして活動する方の中には、「そんなに運良く新規事業案件にアサインされることなんてあるの?」という疑問をおもちの方もいらっしゃるかもしれません。
確かにそういう案件にめぐりあう運は必要といえるかもしれませんし、運的な要素も大きいといえるかもしれません。
しかし運のみ!というと元も子もないので(笑)、アドバイスをするとすればやはり仕事や仕事絡みのコミュニティなどの人脈が一番大きいのではないでしょうか。
人脈というとなんだか抽象的な響きがあるのですが、具体的には分かりやすくいえばもっとも大きな人脈は「これまで実際に一緒に働いたことのある人」と考えればよいでしょう。
一緒に働いたことのある人であれば、あなたがどういうスキルをもっているか、どういう人間的な魅力があるのか、はたまたどういう異性が好みなのか(笑)、などのパーソナリティを知ってくれていることが多いでしょう。
このような人は、意外にも自分にピッタリの案件などを紹介してくれる確率が高いといえます。 逆に、「これまで働いた人との縁はいろいろあって切ってしまっている」などということが1度でもある方は注意が必要です。
せっかく広がったかもしれない人脈をみずからで捨ててしまっているということです。
該当する方は過去のみずからの振る舞いを反省するとともに、「今いる場所で新たにそういう人脈を作ろう!」と意気込んで是非人脈作りに挑戦してみることをオススメします。
このように、人脈とは決して抽象的でも難易度が高いものでもなく、単に「同じ目標に向かって諦めず努力し続けた仲間たちがどれだけたくさんあなたの周囲にいるか?」というだけのことだと思います。
起業の本質はゼロからイチを生み出す価値創造
前述の通り、フリーランスと起業の大きな違いは「新たな価値を生み出すか否か」であると思っています。
いいかえると、起業の本質は「ゼロからイチを生み出す価値創造」であるともいえるでしょうか。
社会にこれまでなかったサービスをさまざまなものを組み合わせて提供し、その対価として売上をあげ、利益をサービスに関わる人やサービスそのものに還元する。
そしてこの還元サイクルを半永久的に仕組み化して回し続けるというのがビジネスの本質でしょう。
このような持続可能な価値創造の仕組みづくりを成し遂げることができれば、文字通り時間単価で働くという会社員やフリーランスのパラダイムから抜け出すことも可能でしょう。
当然ながら、このような仕組みづくりはそれほど簡単なことではないでしょう。
うまく世の中のニーズを汲み取り、市場に合致する必要があります。
これは時の運がないとうまくいかないという側面も多いにあるでしょう。
それでも、挑戦する価値のある仕事であることはいうまでもないことでしょう。
私自身も挑戦中であると同時に、フリーランスを経て起業をする、という働き方や価値観をもっと世の中に浸透させていきたいと思っています。
本稿を読んで少しでも心動いた方はぜひ、みずから決めた価値観に素直になって、観戦者ではなく、一緒にプレイヤーになっていきましょう!